紙とExcelの集計から、その場で見える介護予防へ。
課題
教室ごとに紙で分かれた出席簿・測定記録・チェックリスト
年度末に集中する集計作業と、事業効果の説明資料づくりの負担
ハイリスク者を基準に沿って抽出する仕組みがない
取り組み内容
自治体ごとのフェイスシート(健康カルテ)の構築
QR名札による出席登録
体力測定・基本チェックリスト・栄養/口腔の入力アプリ
ダッシュボードによる効果判定・ハイリスク者抽出・参加者推移の見える化
成果
・年度末に数日かかっていた集計が、画面を開けばその場で確認可能に
・測定当日に、前回との比較を本人へフィードバック
・事業対象者やフレイル・低栄養の該当者を基準に沿って自動抽出
・教室別・年度別の効果判定資料を自動作成
期間
2022年~
市町村
宮崎県内
事業内容
介護DX
課題|測定よりも、集計に追われる時間
介護予防教室の運営に携わる中で、私たちが繰り返し目にしてきたのは、測定や聴き取りそのものよりも、その後の転記と集計に多くの時間が費やされている姿でした。
紙の記録をExcelに打ち直し、教室別・年度別に並べ替え、前年度と比較する。担当者が異動すれば集計のやり方の引き継ぎも難しく、せっかく集めたデータが見返されないまま保管されることも少なくありませんでした。
参加者の側から見ても、測定の結果が返ってくるのは何か月も後、ということがあります。
「前回より歩く速さが上がりましたね」とその場で伝えられれば、教室に通い続ける励みになるはず。この二つの課題を同時に解くことが、cha-chat-toの出発点でした。
取り組み|自治体ごとの様式に合わせて「一枚のカルテ」をつくる
私たちが提供しているのは、出来合いのソフトをそのまま納めることではありません。
測定項目や基本チェックリストの運用、栄養・口腔の聴き取り票、教室の区分、帳票の様式を自治体ごとにうかがい、その自治体の「フェイスシート」として組み立てます。
既存の紙の様式やExcelを生かすことを基本にしているため、現場の運用を大きく変える必要はありません。
出席 名札のQRコードをかざすだけで出席を記録します。名札を忘れた方も、名前を選ぶだけで受付できます。
体力測定 握力、歩行速度、TUG、立ち上がりテストなどの結果を入力すると、横に前回の値が表示され、測定したその場で変化を伝えられます。
基本チェックリスト 25項目を画面で回答すると、運動・栄養・口腔・閉じこもり・認知・うつの各領域を自動で判定し、事業対象者の基準への該当も表示します。
栄養・口腔・生活機能 聴き取り票の形式で入力でき、選択肢は自治体の様式に合わせています。
取り組み|ダッシュボードで、事業の「いま」を見える化する
集めたデータは、ダッシュボードで自動的に集計されます。担当者が手を動かさなくても、画面を開けば次のことがわかります。
事業の効果判定 教室別・年度別に、体力測定やチェックリストの平均値と改善率を集計。前年度との比較や、参加回数と改善の関係も確認できます。
ハイリスク者の抽出 事業対象者の基準、フレイル判定、低体重・体重減少、出席率の低下など、複数の条件で該当者を一覧に。どの基準に該当したかも一目でわかります。
参加者の推移 月別・年度別の延べ参加者数と実参加者数、新規・継続の動きをグラフで表示します。
個人の経過 一人ひとりの測定値の推移をグラフにし、本人へのフィードバック帳票をワンクリックで印刷できます。
経済効果の試算 参加状況と介護度の推移から、事業の費用対効果を試算できます。
役場、地域包括支援センター、委託事業者など、関係者ごとにアクセス権を分けて、同じデータを安全に共有できます。アクセスはあらかじめ許可したアカウントに限定し、通信は暗号化、データは定期的にバックアップしています。
成果|支援を通じて生まれた変化
cha-chat-toを導入した自治体では、次のような変化が生まれています。
・ 年度末に数日かかっていた集計が、画面を開けばその場で確認できるようになった
・ 測定の直後に前回との比較を本人に伝えられるようになり、参加者の反応が変わった
・ 事業対象者やフレイルの該当者を基準に沿って抽出でき、個別支援や専門職への相談につなげやすくなった
・ 教室別・年度別の効果判定資料が自動で用意され、施策会議での説明に使えるようになった
・ 担当者が異動しても、データの集め方と見方が仕組みとして残るようになった
私たちが大切にしたこと
私たちの強みは、介護予防事業の運営、データ収集のシステム、データの分析、そして分析結果を次の施策に生かすところまで、一連の流れを自社内で完結できることです。
ツールを納めて終わりではありません。私たち自身が教室の現場に立ち、名札をかざし、測定値を入力しているからこそ、「この画面はもう一手間減らせる」「この帳票は会議でこう使われる」といった改善を続けることができます。
既存の様式を生かして自治体ごとに組み立てる柔軟さと、小規模から導入しやすい費用感も、多くの自治体に選んでいただいている理由のひとつです。
まだ考えがまとまっていない段階からご相談いただき、これからの方針を一緒につくり上げていく。その姿勢を大切にしています。
データが、住民の健康づくりに還っていく仕組みへ
私たちが目指すのは、集めたデータが現場の負担にならず、住民の健康づくりにそのまま還っていく仕組みです。
cha-chat-toに蓄積したデータを、個人へのフィードバック、ハイリスク者への早期の支援、そして自治体の事業計画の根拠へとつなげていきます。
資源の限られた地域でも成果を出せるモデルとして、培ったノウハウを宮崎県内へ広げていくこと。
WONDER未来図は、地域の未来を一緒につくるパートナーとして、これからも自治体の皆さまとともに歩んでいきます。